五十鈴の里季節便り ~二十四節気によせて~
二十四節気とは、一年を二十四に分けた季節暦です。元々は中国から伝わったものですが長い間に日本風にアレンジされ、季節感を暮らしの中に取り入れるよりどころとなりました。今でも、立春や夏至、秋分、冬至など季節を表す言葉として用いられています。
五十鈴塾では、昔から受け継がれてきた日本の季節感や暮らしの知恵などの生活文化を通じて、現代社会の暮らしに豊かさや潤いをもたらすことができればと、日々講座企画や活動を行っています。
大暑(七月二十三日~八月六日)
〇「甘酒」
「甘酒」というと、冬を連想される方が多いかもしれません。
必須アミノ酸やビタミンB群、ぶどう糖やオリゴ糖など栄養がたっぷり含まれていて「飲む点滴」ともいわれている甘酒、熱々を寒いときに飲むというイメージがありますが、実は夏の季語だということをご存じでしょうか。
江戸時代、江戸や京坂は甘酒売りの行商が盛んで、甘酒釜を担いで「あまーい、あまーい」と触れ歩いたとか。社寺の門前には、お祭りや縁日の客目当てでお店を構える人もいたそうです。初めは寒い季節に熱くして売られていましたが、やがて暑中にも好まれるようになりました。井戸水で冷やした甘酒は、とても人気があったそうです。栄養たっぷりの甘酒は、きっと夏の滋養強壮に役立っていたことでしょう。
ちなみに、江戸末期に完成した、江戸後期の三都(江戸・京都・大阪)の風俗などをまとめた「守貞謾稿」という書物を見ると、江戸では四季を問わず甘酒が売られていましたが、京都・大阪では夏のみだったということがわかるそうで、なかなか興味深い地域差です。
庶民にも親しまれるようになったのは江戸時代からのようですが、甘酒の歴史は古く『日本書紀』にまで遡ります。第二巻に甘酒の起源とされる『天甜酒』についての記述があり、また第十巻には『醴酒』という呼び方での記述があります。
ちなみに、伊勢神宮でお供えに使用される御料酒は「醴酒」(「れいしゅ」とも読む)含め白酒・黒酒・清酒の四種類あり、清酒以外は伊勢神宮で造られているとのことです。
さすがに『日本書紀』の頃と同じ味ではないと思われますが、その歴史に思いを馳せつつ甘酒を楽しみ、年々長くなる暑さ厳しい時期を乗り切っていきましょう。

