秋の星見と土星の魅力
- 内容:
- 11月中旬には夏の大三角が西に傾きつつありますが、午後7時ごろだと西の高度50度ぐらいでまだよく目立っています。はくちょう座はくちばしを下に向けて落下する体制になっていて、白鳥と見るより大きな十字架、北十字星と見る方がふさわしい時期になってきました。西にはカペラなど冬の星も見え始めています。夏と冬の星の間に挟まれた南の空にあるのが秋の星です。秋の星には明るいものが少なく、1等星はみなみのうお座のフォーマルハウトただ1つです。しかし今年はフォーマルハウトよりも空高くにもう1つ目立つ星があります。土星です。惑星は太陽の周りを公転していますので、毎年星空のなかで見える位置が変わります。今シーズン、土星はうお座の中で見えています。
土星は肉眼で見ると光の点ですが、立派な環を持つ惑星で実際に望遠鏡を使うと環が見えます。しかし今シーズンの土星は望遠鏡で見ても環がほとんど分かりません。本体の丸い部分が見えて、そこにかろうじて細い串のようなものがささっているような見え方です。このような見え方になるのは約15年に1度のことで、地球から土星の環をほぼ真横に見る位置関係になっています。
土星は環を約27度傾けて、その傾きを保ったまま太陽の周りを公転しています。ひと回りするのにおよそ30年かかります。その土星を地球から見ていると、環の傾き具合が毎年少しずつ変わっていきます。環を真横から見るチャンスは土星が太陽を1周するうちに2回あり、約15年ごとに訪れます。前回が2009年でした。完璧に環を真横から見るタイミングでは、土星の環が全く見えなくなり環の消失といいます。今回そのタイミングは3月24日でした。ただこの日は地球からみて土星が太陽の方向にあったので、観測はできませんでした。11月下旬に再び環をほぼ真横から見るチャンスがやってきます。この講座では環がほとんど見えない珍しい土星を望遠鏡でご覧いただきます。
土星にはカッシーニというNASAの探査機が向かい、2004年にその周回軌道に入り2017年まで探査を行いました。2017年4月にはミッションの最後を飾る挑戦的な観測が始まりました。土星の本体と環の間を通り抜けながら22周分土星を間近から観測するというもので、グランドフィナーレと呼ばれました。最後の周回でカッシーニは土星本体に突入して、ミッションを終了しました。カッシーニは土星本体や環の様子を非常に高精細な映像で届けてくれました。また土星の衛星についても多くの観測を行いました。講座ではカッシーニが撮影した映像を交えて、土星の魅力的な姿をお伝えします。
---------
※お菓子は講座に合わせて作っていただく五十鈴茶屋の特製菓子です。
- 日時:
- 2025/11/11(火) 18:30~20:30
- 講師:
- 持田 大作
- 定員:
- 20名
- 料金:
- 会員 1300円 ビジター 1800円 (和菓子・お茶付き)
- 場所:
- 五十鈴塾右王舎