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暮らっしっく日本 五十鈴塾

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神崎塾長のつぶやき

令和5年春号「花まつり」

春は花ーーとは少々気が早くもありますが、「花まつり」をとりあげましょう。

花まつりは俗称で、仏教行事としては灌仏会かんぶつえ。釈迦の降誕を祝しての供養行事にほかなりません。四月八日が縁日となります。

この日、仏寺や辻堂にはな御堂みどうを設けます。花御堂は、色とりどりの花で飾った小堂おどうで、そこに釈迦像(誕生仏)を安置するところから、そう呼ばれるようになりました。本堂の厨子から釈迦像しゃかぞうを持ち出して見せる、一種の出開帳でもあります。

一年に一度、間近に釈迦像を拝する人びとは、手に手に柄杓ひしゃくを持ち、甘茶を汲みます。それを釈迦像の頭上に注ぎ、ついでに自分も一口いただいて、無病息災を願う、とします。

なお、甘茶を竹筒などに入れても持ち帰ります。それで墨をすり、その墨で「千早振る卯月八日は吉日よ 神さけ虫を成敗ぞする」などと紙に書いて、家の柱にさかさまに貼ります。それによって、悪い虫が家に入ることを防ごうとしたのです。

花まつりは、釈迦誕生の伝説とともに中国から伝来した仏教行事とはいいますが、今日の中国ではほとんど類例をみません。日本での「縁起だて」が顕著なのです。

そこでの甘茶の発達も、日本特有の現象といえます。生まれたばかりの釈迦に九尾の龍が天上の清浄な水を吐き注いだ、という伝説に基づきますが、本来、中国では五種類の香り水(五香水)からなる薬茶のはず。日本では、子どもも飲みやすいように、と調整したところで甘茶なのです。

それが物語るように、花まつりは、日本ではとくに子どものまつりとしての色彩を強めていきました。ただ、その形式は、各地で異なります。花まつりだけではありません。年中行事のなかには、雪国のカマクラや春節供のヒナ(雛)ナガシ、小正月のトンドなど、子どもが主役の行事がいくつかあります。

地域社会には、子どもたちが組織だって働き、そこで小銭や菓子を得る行事が組みこまれていました。もちろん、子どもの娯楽ではありましたが、彼らが村落社会の一員として協調する、その訓練の場でもあったでしょう。そうした子どもたちのまつりが全国的に後退したのは、経済の高度成長のもとでの学校教育が都鄙ともに一元化する、それにあわせてのことでした。

なお、神社でも、この花の時季に花を神前に献じてまつりを行なうところがあります。由緒いわれはそれぞれに伝わりますが、神仏の習合にともなって行なわれるようになったのでしょう。

伊勢 美し国から

番組概要

「伊勢美し国から」は、日本人古来の生活文化を「美し国」伊勢より発信する15分番組です。
二十四節気に基づいた神宮の祭事や三重に伝わる歴史、文化、人物、観光、民間行事などを紹介。古の時代から今に伝わる衣食住の知恵と最新のお伊勢参り情報を伝えます。
五十鈴塾は、日本文化の再発見を目指して各種講座及び体験講座などを開催してきた実績を活かして、この「伊勢美し国」番組企画を行っています。

令和4年1月 伊勢神宮と五十鈴塾

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