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暮らっしっく日本 五十鈴塾

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神崎塾長のつぶやき

令和5年冬号「話は庚申(こうしん)の晩」

各地に「庚申塚こうしんづか」や「庚申塔」があります。庚申信仰の名残です。

庚申とは、干支かんし(十干十二支)の組合わせで数えるとかのえさるの日にほかなりません。六0日ごとにまわってきます。現在いまでも、それが小さく併記されているカレンダーがありますが、気に留める人は少ないでしょう。

その日は、「庚申待ち」が行なわれていました。「庚申講」というところもありました。講中の人たちが集まって、庚申を祀って時を過ごすのです。といっても、庚申なる特定の神は存在しないのが不思議なところです。

庚申待ち(庚申講)は、お日待ちのひとつにほかなりません。ほかに、月待ちもあり、二十三夜待ち、甲子きのえね待ちなどもあります。そのところどころによって、月日の巡りがとどこおらないことを確かめるのです。とはいいながら、それぐらいの周期で庚申や月日を待つことをタテマエに飲食や歓談を楽しむのです。

庚申待ちでは、婦人たちにかぎった集まりのあることも少なくありませんでした。家業や家事、育児で休む暇のない彼女たちの憩いの時間になったのです。したがって、夜っぴいて話がはずんだわけです。

私は、学生明けのフィールドワークで山梨県上野原の山地集落に行って民宿に泊まった時に、それに出くわしました。もう半世紀も前になります。二階の部屋にいたところ、「下の庚申待ちにごちそうがあるから」と誘われました。年配の婦人ばかりのなかでの青年一人、ずいぶんとからかわれたものでした。

庚申の日には、いくつかの禁忌タブーがあった、といいます。

 
おはぐろを付けぬ/髪を結わぬ/洗濯をしてはいけない/味噌汁を飲まぬ/山や漁に出てはいけない、など(窪徳忠『庚申信仰』より)

 

江戸の川柳には、次のような一句があります。

 
庚申は せざるゝゝゝを入れて ざるなり(詠み人知らず)

 

庚申の申は猿。その猿には、「見ざる・言わざる・聞かざる」の俚言が付きます。その三猿にもう一猿加えて四猿。その一猿とは、男女の同衾をせざるゝゝゝ、ということでした。それも、婦人たちの気分を軽くすることになったのでしょうか。

それもこれも、今は昔のはなし哉、と相なりました。